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ペロブスカイト太陽電池の発電効率はどれくらい?シリコン比較

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この記事のポイント

ペロブスカイト太陽電池は単接合型で発電効率26.95%、オールペロブスカイト2接合型で30.2%、シリコンとのタンデム型で30%超を達成している。理論変換効率は単接合33.7%、タンデム型43.8%まで見込まれる。

ペロブスカイト太陽電池の発電効率はどれくらい?シリコン比較

「ペロブスカイト太陽電池は発電効率が高いと聞くが、実際にどのくらいの数値なのか、従来のシリコン太陽電池と比べて本当に優れているのかがよくわからない」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • ペロブスカイト太陽電池の発電効率の定義と最新記録
  • シリコン太陽電池との発電効率の比較
  • タンデム型による発電効率の向上の仕組み

ペロブスカイト太陽電池の発電効率は、2026年に入り単接合型・タンデム型ともに記録更新が続いています。

数値の意味や測定条件を正しく理解できれば、シリコン太陽電池との違いや今後の実用化の見通しまで判断しやすくなります。ここから順に詳しく見ていきましょう。

ペロブスカイト太陽電池の発電効率とは

ペロブスカイト太陽電池の発電効率とは、太陽の光エネルギーをどれだけ電気エネルギーに変換できたかを示す割合のことです。次世代の再生可能エネルギーとは何かを検討するうえでも、この数値が高いほど同じ面積で多くの電力を生み出せる太陽電池といえます。単に「効率が高い」という言葉だけでなく、どの基準で測った数値なのかを理解しておくと、記事やニュースで見る数字の意味を正しく読み取れます。

発電効率(変換効率)が示す意味

発電効率は、変換効率とも呼ばれ、太陽電池に入射した光エネルギーのうち電気として取り出せた割合をパーセントで表します。ペロブスカイト太陽電池は光の吸収力が強く、少ない光量でも効率的に電子と正孔を生み出せる特性があり、この特性が高い変換効率につながっています。

数値が同じ26パーセント台であっても、測定した条件や太陽電池の種類によって実用上の意味は変わってきます。まずは効率という言葉の中身を分解して理解することが欠かせません。

モジュール変換効率とセル変換効率の違い

太陽電池の効率には、セル単体を測るセル変換効率と、実際に使う形に組み立てたモジュール変換効率という2つの基準があります。セル変換効率はセル一枚あたりの数値で、モジュール変換効率はモジュール1平方メートルあたりの数値です。

セル変換効率のほうが数値が大きく出やすいため、この数値だけを見ると性能を過大に評価してしまう恐れがあります。実際に設置したときの発電量を見積もる場合は、モジュール変換効率を基準にするほうが実態に近い判断ができます。

指標対象特徴
セル変換効率セル1枚数値が大きく出やすい
モジュール変換効率モジュール1平方メートル実用上の性能に近い

発電効率を左右する要因

ペロブスカイト太陽電池の発電効率は、結晶の質や膜の均一性に大きく左右されます。ペロブスカイト結晶は水分や酸素、熱に触れると構造が壊れやすく、劣化が進むと発電性能が下がってしまいます。

結晶内の欠陥が少なく均一な膜を形成できるほど、電子と正孔が電極まで無駄なく移動でき、効率のロスを抑えられます。製造時の膜の品質管理や、劣化を防ぐ封止技術の進歩が、今後の効率向上を支える重要な要素になっています。

ペロブスカイト太陽電池の発電効率における最新記録

ペロブスカイト太陽電池の発電効率は、2009年に発表された当初の3から4パーセントから、2026年時点では単接合型でも27パーセント近くまで伸びています。薄さや軽さといったペロブスカイト太陽電池の特徴があるうえに、さらに複数のセルを組み合わせる技術によって、30パーセントを超える記録も相次いで報告されています。

単接合型で更新される最新の変換効率

単接合型のペロブスカイト太陽電池は、国際的な認証機関であるNRELの認定でセル変換効率が26.95パーセントに到達しています。単一のペロブスカイト層だけでここまでの効率を実現できる点は、シリコン太陽電池に迫る水準といえます。

結晶の質を高める技術や膜の欠陥を減らす製造プロセスの改良が、この効率向上を支えてきました。今後も単接合型単体でのさらなる記録更新が期待されています。

オールペロブスカイト2接合型が示す記録

東京大学先端科学技術研究センターは2026年4月, 性質の異なる2種類のペロブスカイト層を重ねたオールペロブスカイト2接合太陽電池で、変換効率30.2パーセントを達成したと発表しました。順構造のワイドギャップセルと逆構造のナローギャップセルを組み合わせることで、ペロブスカイト太陽電池のデメリットとして挙げられる耐久性の課題を克服しつつ、単接合型では届かない水準に到達しています。

異なる波長の光をそれぞれの層で吸収できる仕組みのため、ペロブスカイト同士の組み合わせだけでも30パーセントを超える効率が実現できることを示した成果です。

ペロブスカイトとシリコンのタンデム型が示す記録

エネコートテクノロジーズとトヨタ自動車は、ペロブスカイトと結晶シリコンを積層した4端子タンデム型セルで、変換効率30パーセントを超える世界最高クラスの成果を達成しました。このようにペロブスカイト太陽電池を開発する企業の技術連携により、ペロブスカイト単独の性能とシリコンの性能を組み合わせ、それぞれ単独では届かない効率を実現しています。

東京都市大学と産業技術総合研究所も、ペロブスカイトとCIGSを組み合わせたタンデム型で25パーセントを超える変換効率を確認しており、複数の企業や研究機関がそれぞれ異なる組み合わせで記録更新を競っています。

理論変換効率が示す上限

ペロブスカイト太陽電池を単接合で使う場合、理論上の変換効率の上限はショックレー・クワイサー限界と呼ばれる考え方に基づき、およそ33.7パーセントとされています。この限界は、太陽光のスペクトルと半導体1層で吸収できる光の波長の関係から導かれる物理的な制約です。

一方、ペロブスカイトと結晶シリコンを積層したタンデム型の理論変換効率は43.8パーセントに達するとされています。現在の実証値である30パーセント台は、この理論上限に対してまだ伸びしろが残っている段階であり、今後も効率向上が続く余地があります。

シリコン太陽電池とペロブスカイト太陽電池の発電効率を比較する

シリコン太陽電池は長年の改良によって高い変換効率を積み上げてきた実績があり、ペロブスカイト太陽電池は短期間で急速に効率を伸ばしてきた新興技術です。その土台となるペロブスカイト太陽電池の仕組みの違いを含めて両者を比較すると、それぞれの立ち位置の違いが見えてきます。

変換効率の数値を比較する

結晶シリコン太陽電池のセル変換効率は27.03パーセントが世界最高記録とされ、実用モジュールでは24から25パーセント前後が上位水準です。これは従来の太陽光発電の仕組みで達成された高効率の成果ですが、ペロブスカイト太陽電池も単接合型で26.95パーセントまで到達しており、セル単体で見ればシリコン系にほぼ並んでいます。

ただし、現在流通が始まっている製品レベルのペロブスカイト太陽電池は15パーセント前後の効率にとどまっており、研究段階の記録値と実用製品の効率には差がある点に注意が必要です。

項目シリコン太陽電池ペロブスカイト太陽電池
セル変換効率の最高値約27.0%約26.95%
実用モジュールの水準約24〜25%約15%前後(初期製品)
タンデム型の実証値約30%超

発電効率以外の性能を比較する

シリコン太陽電池は硬く重量があるため、屋根や広い土地など耐荷重のある場所への設置が中心です。ペロブスカイト太陽電池は薄く軽く柔軟性が高いため、壁面や曲面など従来設置できなかった場所にも展開できます。

製造方法にも違いがあり、シリコン太陽電池は高温での結晶成長が必要な一方、ペロブスカイト太陽電池は塗布や印刷で製造できるため、量産化が進めばシリコン太陽電池のおよそ3分の1から5分の1程度のコストに抑えられると見込まれています。

効率の高さが発電量に与える影響

変換効率が高いほど、同じ設置面積でより多くの電力を得られます。屋根の面積が限られる建物や、耐荷重に制約のある場所では、効率の差が実際に得られる電力量に直結しやすくなります。

現時点のペロブスカイト太陽電池は実用効率でシリコン太陽電池にやや及ばない場面もありますが、軽さを生かして設置面積そのものを広げられる場所があるため、単純な効率の比較だけでなく設置可能面積とあわせて発電量を検討することが重要です。

タンデム型が発電効率を高める仕組み

タンデム型は、単接合型の理論上限を超える発電効率を実現するための技術です。これは一般的な太陽光発電と風力発電の比較において太陽光のポテンシャルを示す例でもあり、ペロブスカイト太陽電池の弱点を補いながら、シリコン太陽電池との組み合わせで理論変換効率43.8パーセントという高い水準を狙えます。

タンデム型が発電する仕組み

タンデム型は、吸収する光の波長が異なる層を重ねることで、太陽光のより広い範囲を発電に利用する構造です。従来の太陽光発電のメリットを最大化するために、上層に配置したペロブスカイト層が高エネルギーの短い波長を吸収して発電し、ペロブスカイト層を通り抜けた長い波長の光を下層の結晶シリコン層が受け止めて発電します。

1層だけでは吸収しきれなかった光を2層で分担して使えるため、単接合型よりも無駄なく光エネルギーを電気に変換できる点がタンデム型の特徴です。

タンデム型が効率を高められる理由

単接合では1種類の材料が吸収できる光の波長に限りがあるため、どれだけ結晶の質を高めても理論上の効率には天井があります。タンデム型はこの天井を、波長の違う材料を重ねることで押し上げる発想です。

上層で使い切れなかった光を下層でさらに発電に使えるため、単一材料の限界を超える鍵になっています。実証値としても30パーセントを超える成果が複数の組み合わせで報告されており、理論値に向けて着実に近づいている段階です。

国内企業に広がる開発動向

カネカは変換効率32.5パーセントを記録し、東芝エネルギーシステムズと京セラの組み合わせでは31.3パーセント、エネコートテクノロジーズは30.4パーセントを達成しています。経済産業省はカネカと長州産業に対し、タンデム型の量産化に向けておよそ94億円を支援し、2030年度までに変換効率30パーセント以上、住宅用途で発電コスト1キロワット時あたり12円以下という目標を掲げています。

カネカはさいたま市とタンデム型ペロブスカイト太陽電池の屋外実証事業を開始するなど、実証段階から量産段階への移行が着実に進んでいます。パナソニックもガラス型・フィルム型のタンデム構造で耐久性と大型化の技術開発を進めており、複数の企業がそれぞれの強みを生かした開発競争を続けています。

実用化に向けた展望

タンデム型の量産化には、政府が掲げる2030年度までの変換効率30パーセント以上という目標が一つの節目になります。この目標が実現すれば、住宅用太陽光発電の分野でもシリコン単独よりも高い効率が得られる選択肢が広がります。

耐用性や大面積での品質の均一化といった課題は残るものの、企業と政府が一体となった開発支援によって、タンデム型の実用化は着実に近づいています。

まとめ:ペロブスカイト太陽電池の発電効率は着実に向上している

ペロブスカイト太陽電池の発電効率は、単接合型で26.95パーセント、オールペロブスカイト2接合型で30.2パーセント、ペロブスカイトとシリコンを組み合わせたタンデム型で30パーセントを超える水準まで到達しています。シリコン太陽電池と比べても遜色ない数値まで伸びており、理論変換効率43.8パーセントに向けてまだ伸びしろが残る段階です。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 発電効率にはセルとモジュールの2つの測定基準がある
  • 単接合型・タンデム型ともに2026年も記録更新が続く
  • タンデム型は理論変換効率43.8%まで伸びる余地がある

本記事を読むことで、ペロブスカイト太陽電池の発電効率の実態とシリコン太陽電池との違いを理解でき、導入検討の判断材料が得られたのではないでしょうか。

ペロブスカイト太陽電池の導入や活用について具体的に検討したい方は、お気軽にお問い合わせください。詳しい資料もご用意しています。

ペロブスカイト太陽電池の発電効率に関するよくある質問

参考文献

  1. オールペロブスカイト2接合太陽電池で変換効率30.2%達成|東京大学先端科学技術研究センター
  2. グリーンイノベーション基金事業「次世代型太陽電池の開発/次世代型タンデム太陽電池量産技術実証事業」を新たに開始しました|NEDO
  3. NEDOグリーンイノベーション基金事業「次世代型タンデム太陽電池量産技術実証事業」に採択|株式会社カネカ

執筆者

Green With 編集部
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