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ペロブスカイト太陽電池の企業一覧・積水化学など事例を解説

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ペロブスカイト太陽電池は積水化学工業がフィルム型で量産を先行し、パナソニックがガラス型、東芝とカネカがタンデム型を開発。2026年5月には主要5社が普及促進協議会を設立した。

ペロブスカイト太陽電池の企業一覧・積水化学など事例を解説

「ペロブスカイト太陽電池に取り組んでいる企業はどこなのか、自社が参入や連携を考えるならどの企業を参考にすればいいのか知りたい」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

本記事の内容

  • 積水化学工業やパナソニックなど代表企業の技術方式と事業進捗
  • 東芝やカネカが手がけるタンデム型の変換効率と実証状況
  • 業界団体設立を含む企業間連携の最新動向

ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業は、積水化学工業やパナソニック、東芝、カネカなど化学・電機メーカーを中心に広がっており、企業ごとに技術方式や事業ステージが異なります。本記事を読めば、代表的な企業の取り組みと自社に合った関わり方が見えてきますので、ぜひ最後までご覧ください。

ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業を知るための基礎知識

ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業は、積水化学工業やパナソニック、東芝、カネカなど化学・電機メーカーを中心に広がっています。次世代の再生可能エネルギーとは何かという大きな枠組みの中で、企業ごとに得意とする技術方式や事業ステージが異なるため、まずは開発の背景と分類の視点を押さえておくことが、各社の取り組みを理解する近道になります。

開発が進む背景と国内企業の位置づけ

国内企業がペロブスカイト太陽電池に力を入れる背景には、エネルギー安全保障上の狙いがあります。国産原料を活かしながらペロブスカイト太陽電池の発電効率を極限まで高める技術として、政府も普及に向けた取り組みを強力に後押ししています。

NEDOのグリーンイノベーション基金では、2021年度から次世代型太陽電池の基盤技術開発と実用化事業を支援してきました。基盤技術開発には約39億円、実用化事業には約155億円の支援規模が投じられており、積水化学工業やカネカなど複数の企業がこの枠組みを活用して研究開発を進めています。2026年時点では、量産体制の構築段階に入った企業と、実証段階にとどまる企業が併存する状況です。

フィルム型・ガラス型・タンデム型の違い

ペロブスカイト太陽電池は、企業によって開発する構造が異なります。一般的な太陽光発電と風力発電の比較における発電効率や用途の違いと同様に、ペロブスカイト独自の代表的な3つの方式を整理すると、以下のようになります。

方式特徴主な用途
フィルム型軽量で柔軟性が高い建物の壁面、曲面部への設置
ガラス型耐水性・耐久性に優れる窓ガラス一体型の建材
タンデム型シリコン型と組み合わせ変換効率を高める大規模発電設備

フィルム型は薄く曲げられる特性を活かし、従来のシリコン型では設置が難しかった壁面や曲面への導入を狙う企業が多い方式です。ガラス型は建物の窓に組み込む用途を想定しており、耐久性の高さが強みになります。タンデム型はシリコン型と重ねて使うことで発電効率を底上げする技術で、大規模な発電設備への応用が期待されています。

企業を分類する視点

ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業を理解するには、技術方式に加えて事業化の進み具合で見る視点も欠かせません。従来の太陽光発電の仕組みと異なる量産技術の開発に挑み、すでに量産体制の構築に着手している企業もあれば、実証実験の段階にとどまる企業、部材や製造装置の供給で関わる企業もあります。

自社が連携先や参入分野を検討する場合は、技術方式の適性だけでなく、各企業がどの事業ステージにいるかを合わせて確認することが重要です。次の章からは、代表的な企業の取り組みを技術方式別に紹介します。

フィルム型で先行する積水化学工業の取り組み

積水化学工業は、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の分野で最も事業化が進んでいる企業のひとつです。子会社の積水ソーラーフィルムを通じて、量産体制の構築と実証実績の両面で先行しています。

SOLAFILの量産体制と生産能力

積水化学工業と積水ソーラーフィルムは、2026年3月にフィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL」の事業開始を発表しました。パネルの大きさは幅1メートル、長さ1.5メートルで、発電効率15%、耐久性10年の仕様です。環境省の導入支援事業に採択されたさいたま市や東京都などの自治体、西日本高速道路向けに販売しています。

2026年度は既存設備を使った限定的な生産となりますが、2027年度にはシャープの堺工場で年10万キロワット規模の量産設備を立ち上げる計画です。さらに2030年までに年100万キロワット級まで生産能力を高める方針を示しており、段階的な拡大を進めています。

時期生産体制
2026年度既存設備による限定生産、自治体・高速道路会社へ供給
2027年度堺工場で年10万キロワット規模の量産設備を稼働
2030年度年100万キロワット級への生産能力拡大を目指す

万博やビル壁面での実証実績

積水化学工業は、大阪・関西万博会場の夢洲第1交通ターミナルで、バス停の屋根に縦2メートル・横1メートルのパネルを257枚設置する実証を行いました。国内では最大規模の設置事例で、日本国際博覧会協会の脱炭素部門表彰にも選ばれています。

万博以前にも、大阪本社のリニューアル工事にあわせてビル外壁へペロブスカイト太陽電池を設置する実証を国内で初めて実施しました。フィルム型の軽さと柔軟性を活かし、垂直面や耐荷重の小さい屋根など、シリコン型では設置が難しかった場所での活用を積み重ねています。

今後の事業展開

積水化学工業は、自治体や高速道路会社といった公共性の高い顧客との連携から事業を広げる戦略をとっています。実証で得た知見を量産設備の立ち上げに反映しながら、生産規模の拡大とコスト低減を並行して進めていく見通しです。フィルム型の特性を活かせる用途を広げることが、今後の事業展開の軸になります。

ガラス型を開発するパナソニックの取り組み

パナソニックホールディングスは、窓や外壁のガラスに組み込むガラス型ペロブスカイト太陽電池の開発を進める企業です。フィルム型とは異なる用途を想定し、建材メーカーとの連携を軸に実用化を目指しています。

AGCとのコンソーシアムによる開発

パナソニックホールディングスは、AGCとパナソニック環境エンジニアリングとともにコンソーシアムを組み、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「次世代型太陽電池実証事業」に採択されました。事業期間は2025年度から2029年度までの5年間、事業規模は約335億円、うち支援規模は約246億円にのぼります。

コンソーシアムでは、パナソニックホールディングスが幹事企業を務め、大型のガラス型ペロブスカイト太陽電池を安定した品質と歩留まりで生産する量産技術の確立を目指しています。窓ガラスに組み込む建材一体型太陽電池(BIPV)としての事業化を見据えた開発が特徴です。

建材一体型太陽電池への応用

パナソニックホールディングスのガラス型ペロブスカイト太陽電池は、30センチメートル角のサイズで、普及しているシリコン型太陽電池とほぼ同等の発電効率を実現しています。窓ガラスに発電機能を持たせることで、新築だけでなく既存建物のガラス建材を置き換える形での導入も想定しています。このようなペロブスカイト太陽電池の仕組みを応用し、窓ガラスに発電機能を持たせることで、新築だけでなく既存建物のガラス建材を置き換える形での導入も想定しています。

YKK APとの間でも、ガラス型ペロブスカイト太陽電池を内窓に用いた建材一体型太陽光発電の実装検証をビルで開始しており、建材メーカーを巻き込んだ実用化への取り組みが広がっています。

実証段階の位置づけ

パナソニックホールディングスは、2026年4月に本格稼働する技術部門の新棟窓部にガラス型ペロブスカイト太陽電池を実装し、長期の実証実験を開始しました。建材としての取り付け方法や配線方法など、実装段階の技術検証を進めている状況です。

同社は2026年に試験発売を計画していますが、量産技術の確立自体は2030年ごろを見込んでおり、積水化学工業のフィルム型に比べると事業化はやや先の段階にあります。実証で得たデータをもとに、発電効率の規格作りなど普及に向けた基盤整備も並行して進めています。

タンデム型を軸に開発する東芝とカネカの取り組み

東芝とカネカは、ペロブスカイトとシリコンを組み合わせたタンデム型太陽電池の開発で存在感を示す企業です。両社とも高い変換効率を追求しながら、実証試験を通じて実用化への道筋をつけています。

東芝が目指す高変換効率化

東芝は、ペロブスカイトとシリコンによる2端子タンデム型太陽電池で、エネルギー変換効率31.3%を達成しました。単結晶シリコン型太陽電池の変換効率を上回る水準であり、実用化に向けたひとつの節目とされています。

同社は2025年8月から2026年12月にかけて、金沢大学角間キャンパスのソーラーパーク内でタンデム型ペロブスカイト太陽電池のフィールド試験を実施しています。なお、開発を担ってきた東芝エネルギーシステムズは2026年4月に東芝本体へ統合され、事業の一体運営を進める体制になりました。

カネカが強みとするポリイミド基板技術

カネカは、自社設計のポリイミド基板を用いた軽量・柔軟なペロブスカイトセルの開発を積み重ねてきた企業です。この技術を土台に、現在は自社が生産するヘテロ接合型結晶シリコン太陽電池にペロブスカイトを重ねるタンデム型の開発に力を入れています。

カネカと長州産業の2社は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「次世代型タンデム太陽電池量産技術実証事業」に採択され、経済産業省から合計約94億円の支援を受けています。カネカはペロブスカイトと結晶シリコンのタンデム型で変換効率32.5%を記録しており、将来的には40%以上の高効率化を目指しています。

両社に共通する事業化への課題

東芝とカネカに共通する課題は、実証試験で得た性能を量産品質として安定させることです。従来の太陽光発電のメリットを上回る効率を目指し、カネカはさいたま市庁舎で公共施設として国内初となるタンデム型ペロブスカイト太陽電池の屋外実証を2026年3月から実施しており、2028年度の製品販売開始を計画しています。

東芝も金沢大学でのフィールド試験を通じて耐久性データを積み上げている段階で、両社ともフィルム型で先行する積水化学工業に比べると、製品化までの時間軸はやや長めに見込まれています。タンデム型は変換効率の高さが強みである一方、実用化までにはシリコン型との組み合わせ技術を確立する工程が残っています。

その他の企業と業界団体の動き

積水化学工業、パナソニック、東芝、カネカ以外にも、ペロブスカイト太陽電池の実用化を支える企業は複数あります。あわせて2026年には業界団体も設立され、企業間の連携が新たな段階に入りました。

アイシンとエネコートテクノロジーズの技術開発

アイシンは、20年以上取り組んできた有機系太陽電池の研究開発をもとに、薄ガラスを用いた独自構造のペロブスカイト太陽電池を開発しています。厚さ約2ミリメートル、重量約900グラムとシリコン系の約5分の1まで軽量化しながら、30センチメートル角で変換効率約15%を実現しました。2028年のテスト販売開始、2030年の本格事業化を目標に掲げています。

京都大学発のスタートアップであるエネコートテクノロジーズは、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の開発を中心に活動する企業です。NEDOのグリーンイノベーション基金の最終フェーズに採択され、量産技術と社会実装に向けたコンソーシアム体制での開発を進めています。

リコーによる公共施設への導入事例

リコーは、独自のインクジェット製造技術を使ったペロブスカイト太陽電池の開発と実証を進める企業です。東京都と共同で東京体育館の敷地内に庭園灯35本を設置し、屋外環境での発電量や耐久性のデータを収集する実証を実施しました。

2026年3月には、ペロブスカイト太陽電池を搭載した庭園灯「Airソーラー」を都有施設へ先行導入することが発表されています。配線工事が不要になる利点を生かし、設置場所の自由度を高める用途での実用化が進んでいる事例です。

日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会の設立

2026年5月15日、アイシン、エネコートテクノロジーズ、積水ソーラーフィルム、パナソニックホールディングス、リコーの5社が「日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会」を設立しました。薄さや軽さといったペロブスカイト太陽電池の特徴を活かした社会実装に向けて、安全性や品質保証、認証、製品規格の標準化、サプライチェーン構築といった各社共通の課題に対応することが狙いです。

協議会は、製品規格の策定や登録、モジュール・システム出力の認証、品質性能や製品安全に関するガイドラインづくりを進めるほか、国内外の標準化やサプライチェーンの強化、政策提言にも取り組む方針です。企業単独では対応しづらい課題を業界横断で解決する枠組みとして、今後の普及に影響を与える動きといえます。

企業の取り組みから見る参入・連携のポイント

ここまで紹介した企業の事例を踏まえると、ペロブスカイト太陽電池への参入や連携を検討するうえでは、技術方式の見極めと外部リソースの活用が鍵になります。

自社に合う技術方式を見極める視点

積水化学工業のフィルム型は壁面や曲面への設置に強く、パナソニックのガラス型は建材一体型の用途に適しています。東芝とカネカのタンデム型は変換効率の高さを活かした大規模発電向けです。自社の事業領域が建材、施工、発電設備のどこに近いかによって、親和性の高い技術方式は変わります。

技術方式親和性の高い事業領域
フィルム型建物の壁面、屋根、施工業
ガラス型窓ガラスなどの建材メーカー
タンデム型発電事業、電力設備

いきなり全方式を検討するのではなく、自社の既存事業と重なる領域から検討を始めると、投資対効果を判断しやすくなります。

政策支援や研究拠点を活用する方法

環境省は「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」を実施しており、従来の太陽電池では設置が難しい場所への導入を対象に、1事業あたり最大10億円、補助率3分の2の支援を行っています。2026年度からは、自治体が国庫補助を活用する際の地方財政措置も講じられる予定で、公共施設への導入を検討する自治体の負担軽減が進んでいます。

NEDOのグリーンイノベーション基金は、基盤技術開発から実用化事業まで幅広い段階を支援しており、積水化学工業やパナソニックホールディングス、カネカなどがこの枠組みを活用してきました。研究開発段階から自社だけで進めるのではなく、こうした公的支援や研究拠点との連携を早期に検討することが有効です。

他企業との連携で実用化を早める考え方

ペロブスカイト太陽電池は、ヨウ素などの原材料から透明導電膜、バリアフィルム、封止材、ガラス、製造装置、施工、電気工事まで多層的なサプライチェーンで成り立っています。積水化学工業がシャープの堺工場を製造拠点として活用したように、自社に不足する製造能力を他社との連携で補う動きも出てきました。

パナソニックホールディングスとAGCのコンソーシアムのように、異業種と組むことで建材への応用を早めた事例もあります。単独ですべての工程を担おうとせず、部材メーカーや施工会社、研究機関とのネットワークを築くことが、実用化への近道になります。

まとめ:ペロブスカイト太陽電池は企業ごとの技術方式を理解することが判断の近道

ここまで、ペロブスカイト太陽電池に取り組む企業の基礎知識から、積水化学工業、パナソニック、東芝、カネカをはじめとする代表企業の取り組み、業界団体の動き、参入・連携のポイントまでを解説してきました。実用化に向けて重要となるペロブスカイト太陽電池のデメリットなどの課題についても理解を深めることができました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 企業ごとにフィルム型・ガラス型・タンデム型と技術方式が異なる
  • 積水化学工業が量産で先行し、パナソニックや東芝、カネカも実証段階を進めている
  • 自社に合う技術方式を見極め、政策支援や他企業との連携を活用することが実用化への近道になる

ペロブスカイト太陽電池企業の具体的な取り組みを知ることで、自社がどの分野でどのように関われるのか、判断材料が整理できたのではないでしょうか。

ペロブスカイト太陽電池への参入や連携を検討する際は、まず情報収集や専門家への相談から始めてみてください。

ペロブスカイト太陽電池の企業に関するよくある質問

参考文献

  1. フィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL」事業開始のお知らせ | 積水化学工業株式会社
  2. 日本ペロブスカイト太陽電池普及促進協議会(JPSC)
  3. グリーンイノベーション基金事業で新たに「次世代型太陽電池実証事業」に着手しました | NEDO

執筆者

Green With 編集部
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編集部

Green With編集部は、GX・脱炭素・Scope3・カーボンニュートラルなどの実務情報をわかりやすく発信する編集チームです。政策・技術・企業事例を調査し、AIを活用した制作と編集部による事実確認を組み合わせ、実務に役立つ信頼性の高いコンテンツを提供しています。

監修者

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Green With リサーチチームは、GX・脱炭素・Scope3・ESG・環境政策に関する国内外の一次情報を継続的に調査・分析する専門チームです。政府・業界団体・研究機関・企業の公開情報をもとに、記事の事実確認や専門性の担保、情報の正確性を監修しています。

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