バイオマス発電の将来性は高い?理由と課題をわかりやすく解説
この記事のポイント
バイオマス発電の将来性は、カーボンニュートラルと安定供給という強みと、発電コストの高さや燃料の輸入依存という課題を併せ持つ。2026年度のFIT見直しを機に、地域資源を生かした発電や燃料の技術革新が今後の普及を左右する。
「バイオマス発電の将来性が本当にあるのか分からず、自社の脱炭素対策や投資判断にどう活かせばよいのか迷っている」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- バイオマス発電の将来性が高いといわれる理由
- 将来性を左右する課題と2026年度の制度改正
- 企業がバイオマス発電の将来性を見極めて活用するポイント
バイオマス発電の将来性は、カーボンニュートラルへの貢献と技術革新によって着実に高まっています。
一方で発電コストや燃料の輸入依存といった課題も残っています。本記事を読めば将来性を客観的に判断でき、自社にとってバイオマス発電が投資や導入の選択肢になるかを具体的にイメージできるようになるはずです。判断材料を整理しながら、順を追って見ていきましょう。
バイオマス発電の将来性が高いといわれる理由
バイオマス発電の将来性が高いといわれるのは、脱炭素と資源循環の両方に貢献できる発電方法だからです。カーボンニュートラルな性質に加え、天候に左右されない安定供給、廃棄物の有効活用、燃料コストを下げる技術革新という4つの強みが評価されています。理由を具体的に見ていきましょう。
カーボンニュートラルに貢献できる点
バイオマス発電は、燃料を燃やしてもCO2を実質的に増やさないカーボンニュートラルな発電方法とされています。燃料となる植物が成長する過程で、光合成によって大気中のCO2を吸収しているためです。
排出と吸収がひとつのサイクルを形成するため、脱炭素経営を進める企業にとって将来性のある電源とみなされています。
天候に左右されず安定して発電できる点
太陽光発電や風力発電は、日照や風況によって発電量が変動します。バイオマス発電は燃料さえ確保できれば、天候に関係なく安定して発電を続けられる点が強みです。
必要なときに発電量を調整しやすいため、再生可能エネルギーの中でもベース電源として使いやすい特徴を持っています。
廃棄物を資源として活用できる点
バイオマス発電は、これまで捨てられていた木くずや生ごみ、家畜のふん尿などを燃料に変えられます。廃棄物を資源として使うことで、ゴミの削減と発電を同時に実現できる点も評価されています。
地域で出る資源をその場で活用すれば、処分費用の削減や循環型社会の構築にもつながります。
燃料調達コストを下げる技術革新の動き
近年は、木質燃料に代わる新しい燃料の開発が将来性を後押ししています。イーレックスは、干ばつに強く年に複数回収穫できる作物ソルガムを用いたバイオマス燃料の商業栽培を進めており、木材からつくる燃料より調達コストを抑えられる見込みです。
このほか、木質ペレットや農業残さなど幅広い燃料を利用できる高効率ガス化システムを備えた発電所の稼働も始まっています。燃料の多様化と効率化が進めば、発電コストの高さという課題を補いながら将来性を高めていけます。
バイオマス発電の将来性を左右する課題
バイオマス発電の将来性を語るうえでは、良い面だけでなく課題も直視する必要があります。発電コストの高さ、燃料の安定確保、エネルギー変換効率の低さ、燃料調達の持続可能性という4つの課題が、そもそも個別のバイオマス発電の特徴として定義されている項目であり、将来性の伸びしろを左右します。順に整理します。
発電コストが高くなりやすい点
バイオマス発電は、他の発電方法と比べてコストが高くなりやすい傾向があります。燃料となる資源の購入費に加え、木材をチップに加工する費用や、各地に分散した資源を集める運搬費がかかるためです。
太陽光発電のように自然エネルギーをそのまま使う方式と異なり、燃料の供給網そのものを整備する必要があります。発電コストの大半を燃料費が占める構造は、将来性を評価するうえで避けて通れない課題です。
燃料の安定確保と輸入依存の問題
安定して発電するには、燃料を継続的に調達し続ける必要があります。国内で使える間伐材の量には限りがあり、多くの発電所が輸入由来の燃料を一部取り入れているのが実情です。
輸入木質ペレットの価格が高騰すれば、そのまま発電コストの上昇につながります。燃料の安定確保は、将来性を持続させるための重要な条件です。
エネルギー変換効率が低い点
バイオマス発電は、投入したエネルギーを電気に変える効率が低い点も課題です。木質バイオマスを蒸気タービンで発電する場合、変換効率はおよそ20〜25%にとどまります。
同じ発電量を得るために多くの燃料が必要になり、コスト増加の一因にもなっています。効率改善の技術が進むかどうかが、将来性を大きく左右します。
燃料調達の持続可能性への懸念
輸入木質ペレットをめぐっては、生産地での森林伐採や生態系への影響を懸念する声もあります。木質ペレットの輸入量は近年急増しており、燃料生産の現場で天然林の伐採が進んでいるとの指摘もあります。
持続可能性を証明する認証制度は存在するものの、運用が十分に機能していないという課題も残ります。燃料調達の透明性を高めることが、バイオマス発電の将来性を高める前提条件になります。
日本におけるバイオマス発電の現状と将来の見通し
日本のバイオマス発電は、導入量の面ではすでに一定の水準に達している一方、制度面での見直しが将来性に影響を与えつつあります。導入するバイオマス発電の種類や方式を整理した上で、国内の現状と制度改正、海外の動向から今後の見通しを整理します。
国内の導入量と2030年の目標
バイオマス発電の国内導入量は、直近で8.1ギガワット程度に達しています。第6次エネルギー基本計画では2030年の目標として8.0ギガワットが掲げられており、導入量はすでに目標に届いている状況です。
もっとも、日本の電力供給に占めるバイオマスの割合は数%にとどまります。目標を数字のうえで達成していても、電源全体に占める存在感はまだ小さいのが実態です。
固定価格買取制度の見直しが将来性に与える影響
再生可能エネルギーの普及を支えてきた固定価格買取制度は、バイオマス発電について見直しが進んでいます。2026年度以降、出力1万キロワット以上の一般木質バイオマス発電と液体燃料を使う発電は、新規の認定対象から外れることが決まりました。
見直しの背景には、大規模発電がコストの大半を輸入燃料費に依存し、応札が近年発生していない実情があります。既に稼働している発電所や既存の認定案件には影響がなく、今後は長期脱炭素オークション制度や容量市場を活用した新規導入も選択肢になると見込まれます。
海外の動向と比較した日本の立ち位置
海外では、ドイツやデンマークがバイオマス発電を再生可能エネルギー政策の重要な柱として位置づけています。ドイツでは9,500カ所を超えるバイオガスプラントが稼働し、デンマークでは地域熱供給の多くをバイオマス由来のエネルギーで賄っています。
日本は輸入燃料への依存度が高く、欧州のように国内資源を中心とした供給体制を築けていない点で立ち位置が異なります。地域の未利用資源を生かした発電に軸足を移せるかが、将来性を左右する分かれ目になります。
企業がバイオマス発電の将来性を見極めて活用するポイント
企業がバイオマス発電と関わる方法は、自社で設備を持つことだけではありません。個々の設備のバイオマス発電の仕組みから紐解く将来性を判断する視点、コーポレートPPA、地域資源の活用という3つの観点から、実務的な関わり方を紹介します。
将来性を判断する視点を持つ
バイオマス発電の将来性を判断するには、カーボンニュートラルという長所と、コストや燃料調達という課題を切り分けて見る視点が欠かせません。制度改正の影響を受けにくい国内資源由来の発電か、輸入燃料に依存する大規模発電かによって、将来性の評価は変わってきます。
自社の脱炭素目標や投資期間に照らして、どの種類のバイオマス発電に将来性を見出すのかを整理しておくことが判断の出発点になります。
コーポレートPPAで関わる
コーポレートPPAは、需要家が自社で発電設備を持たずに再エネ電力を長期契約で調達できる仕組みです。発電事業者側が導入コストや保守コストを負担するため、需要家側の初期負担を抑えながら再エネ電力を確保できます。
この方式で調達した電力は、追加性のある再エネとしてRE100などの国際的な脱炭素目標の要件を満たせます。自社で設備を持つリスクを避けつつ、将来性のあるバイオマス発電の恩恵を受けられる方法です。
地域資源を生かした導入を検討する
バイオマス資源は地域に広く分散して存在します。地元の間伐材や食品残さ、家畜のふん尿などを活用すれば、エネルギーの地産地消につながり、輸入燃料に頼る大規模発電より価格変動の影響を受けにくくなります。
国や自治体は、地産地消型の再エネ発電設備の導入や木質バイオマスボイラーの設置に対する補助制度を用意しています。導入を検討する段階で自治体や専門機関に問い合わせ、活用できる支援策を確認しておくとよいでしょう。
まとめ:バイオマス発電の将来性は制度と技術の進展が鍵を握る
ここまで、バイオマス発電の将来性が高いといわれる理由、将来性を左右する課題、日本の現状と2026年度以降の制度改正、企業が活用するポイントを解説してきました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- バイオマス発電はカーボンニュートラルと技術革新により将来性が高いと評価されている
- 発電コストの高さや燃料の輸入依存、変換効率の低さが将来性を左右する課題になる
- 企業はコーポレートPPAや地域資源の活用で将来性のあるバイオマス発電に関われる
本記事を通じて、バイオマス発電のメリット・デメリットを踏まえた将来性を良い面と課題の両方から客観的に判断し、自社にとって投資や導入の選択肢になるかを具体的にイメージできるようになったはずです。
バイオマス発電の将来性や導入について詳しく相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。自治体や他社の具体的なバイオマス発電の取り組み事例も交え、最適な導入計画をご提案いたします。資料請求からも、導入検討に役立つ情報を確認できます。
バイオマス発電の将来性に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Green With編集部は、GX・脱炭素・Scope3・カーボンニュートラルなどの実務情報をわかりやすく発信する編集チームです。政策・技術・企業事例を調査し、AIを活用した制作と編集部による事実確認を組み合わせ、実務に役立つ信頼性の高いコンテンツを提供しています。
監修者
リサーチチーム
Green With リサーチチームは、GX・脱炭素・Scope3・ESG・環境政策に関する国内外の一次情報を継続的に調査・分析する専門チームです。政府・業界団体・研究機関・企業の公開情報をもとに、記事の事実確認や専門性の担保、情報の正確性を監修しています。
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