GX-ETSはいつから?2026年度開始の対象企業とスケジュール
この記事のポイント
GX-ETSは2026年度から本格稼働する日本版の排出量取引制度です。2023年度の試行を経て、直接排出量が3年度平均で10万トン以上の企業が対象となり、初年度は排出量の算定と移行計画の提出が求められます。
「GX-ETSがいつから始まるのか知りたい。自社が対象になるのか、今から何を準備すればよいのかも整理しておきたい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- GX-ETSがいつから始まるかと制度の全体像
- 本格稼働に向けた3つのフェーズのスケジュール
- 対象企業の基準と今から準備すべきこと
GX-ETSは2026年度から本格稼働する日本版の排出量取引制度で、二酸化炭素の直接排出量が多い一部の大企業に参加が義務づけられます。
本記事を読めば、GX-ETSがいつから始まるのかという疑問だけでなく、自社が対象になる条件や本格稼働までに整えておくべき備えまで見通せます。制度対応の第一歩として、ぜひ最後までご覧ください。
GX-ETSがいつから始まるかと制度の全体像
GX-ETSは2026年度から本格稼働する日本版の排出量取引制度です。その前提となるgxとはどのような概念なのかを踏まえつつ、2023年度に試行が始まり、2026年4月1日以降は一定規模以上の企業に参加が義務づけられます。脱炭素を推進するgx企業としてどのような準備が必要なのか、まずは制度の意味と背景から整理します。
GX-ETSの意味と読み方
GX-ETSは「Green Transformation - Emissions Trading Scheme」の略称で、読み方は「ジーエックスイーティーエス」です。日本語では日本版の排出量取引制度と呼ばれています。
企業ごとに二酸化炭素の排出枠を設け、排出量が枠を上回るか下回るかに応じて、企業間で枠を売買できる仕組みがGX-ETSにあたります。排出削減を経済的な価値へ結びつけ、脱炭素と産業競争力の両立をねらう制度です。政府が策定したgx基本方針に基づき、国が主導する成長志向型カーボンプライシング構想の中核として位置づけられています。
制度が導入される背景
GX-ETS導入の背景には、2050年カーボンニュートラルの実現という国全体の目標があります。目標達成には産業界の大幅な排出削減が欠かせず、その行動を促す仕組みとして排出量取引制度が選ばれました。このような環境政策の基本や制度設計への理解を深めるため、gx検定の勉強方法を調べるなど個人のスキルアップを図る動きも活発です。
制度の法的な土台となるのが、2023年5月に成立したGX推進法です。この法律のなかで、GX-ETSはGX経済移行債や化石燃料賦課金と並ぶ主要な政策に位置づけられています。二酸化炭素の排出に価格を付けるカーボンプライシングの一環として、企業の脱炭素投資を後押しするねらいがあります。
GXリーグとの関係
GX-ETSを理解するうえで欠かせないのが、GXリーグとの関係です。GXリーグは、GXに積極的に取り組む企業が官学と連携して脱炭素と経済成長の両立を目指す枠組みを指します。この取り組みを主導するgx人材の育成も進む中、2023年度に始まったGX-ETSの試行段階は、このGXリーグに参加する企業による自主的な排出量取引として運営されてきました。2026年度からの本格稼働後も、GXリーグは制度の円滑な運営やルールの改善を支える役割を担い続ける見通しです。GXリーグという土台の上に、法的な義務を伴うGX-ETSが積み上がる関係と整理できます。
GX-ETSの本格稼働に向けたスケジュール
GX-ETSは3つのフェーズに分けて段階的に進みます。その根拠となるgx推進法の改正規制を見据えつつ、試行期間の第1フェーズ、義務化される第2フェーズ、有償化が広がる第3フェーズという流れです。いつから何が変わるのかを時系列で押さえておきましょう。
各フェーズの時期と特徴は次のとおりです。
| フェーズ | 期間 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 第1フェーズ | 2023年度から2025年度 | 自主参加による試行 |
| 第2フェーズ | 2026年度から2032年度 | 義務化を伴う本格稼働 |
| 第3フェーズ | 2033年度以降 | 有償割当の段階的な拡大 |
試行段階だった第1フェーズ
第1フェーズは、2023年度から2025年度までの試行期間にあたります。GXリーグに参加する企業が自主的に目標を掲げ、排出量の算定や取引を試す位置づけでした。
この段階では法的な義務がなく、排出量の算定方法の習熟や取引システムの検証が主な目的です。本格稼働に向けた予行演習として、多くの企業が実務の流れを確かめてきました。
本格稼働が始まる第2フェーズ
第2フェーズは、2026年度から2032年度までの期間です。GX-ETSがいつから義務になるのかという問いへの答えは、この2026年度が起点になります。
第2フェーズでは、一定規模以上の排出企業に制度への参加が義務づけられます。制度初年度の2026年度は特例的なスケジュールが組まれており、2026年4月1日から排出量の算定を始め、9月30日までに年度平均排出量の届出と移行計画の提出を行う流れです。排出枠の割当ては2027年度に実施され、排出枠を売買する取引市場は2027年秋ごろの開設が予定されています。企業が排出実績量と同量の排出枠を納める最初の償却義務は、2028年初頭に生じる見込みです。
有償化が進む第3フェーズ
第3フェーズは、2033年度以降の段階です。これまで無償で割り当てられていた排出枠の一部を、企業が政府から買い取る有償オークションが導入されます。
有償化の対象は、まず発電部門から始まる予定です。2033年度時点の有償割合は低い水準から開始し、2050年のカーボンニュートラルに向けて段階的に引き上げていく方針が示されています。段階を追うごとに企業の負担が重くなるため、早い段階での排出削減が競争力を左右する要素になります。
GX-ETSの対象となる企業と義務の内容
GX-ETSの義務化がいつから始まるのかとあわせて、自社が対象になるかどうかも気になるところです。2026年度の本格稼働で義務を負うのは、排出量の多い一部の大企業に限られます。ここでは対象の基準と、初年度に必要な手続きを確認します。
対象となる企業の基準
対象となるのは、二酸化炭素の直接排出量が前年度までの3年度平均で10万トン以上となる事業者です。工場や発電所などから直接排出される二酸化炭素が判定の基準になります。
この基準に当てはまる企業は全国で300社から400社程度と見込まれ、日本全体の温室効果ガス排出量のおよそ6割をカバーします。電力や鉄鋼、化学、セメント、石油元売り、自動車といったエネルギー消費の大きい業種が中心です。基準に届かない企業は義務の対象外となりますが、供給網を通じた削減要請の広がりには注意が必要になります。
2026年度初年度に必要な手続き
制度初年度の2026年度には、通常とは異なる特例的なスケジュールが設けられています。対象企業がいつまでに何をすべきかを、順を追って把握しておくことが大切です。
初年度に対象となる事業者が踏む主な流れは次のとおりです。
- 2026年4月1日から二酸化炭素の直接排出量などの算定を始める
- 2026年9月30日までに年度平均排出量の届出と移行計画の提出を行う
- 2027年度に排出目標量などの届出と排出枠の割当てを受ける
移行計画には、2026年から2030年までの排出量の見込みや削減目標、設備投資や研究開発の計画などを記載します。排出枠の割当てや取引市場の本格的な稼働は2027年度に本格化するため、初年度は算定と計画づくりが中心の期間です。
義務を怠った場合のペナルティ
GX-ETSでは、割り当てられた排出枠と同量の枠を期限までに納める償却が義務になります。この義務を果たせなかった場合、未償却相当負担金の支払いが求められます。
負担金の額は、未償却分の量に参考上限取引価格の1.1倍を掛けて算定される仕組みです。2026年度の参考上限取引価格を4,300円とすると、未達1トンあたりおよそ4,730円の負担が生じる計算になります。排出量の報告や排出枠の返納といった義務を怠った場合には、GX推進法に基づく過料などの対象となる可能性もあります。
GX-ETS開始に向けて企業が準備すべきこと
GX-ETSがいつから始まるかを押さえたら、次に必要なのは実務の準備です。2026年度の本格稼働までに、排出量の把握や計画づくりを進めておくことで、初年度の手続きに落ち着いて対応できます。対象企業が取り組むべき3つの柱を紹介します。
排出量を算定する体制を整える
最初に取り組むべきは、二酸化炭素の直接排出量を正確に算定する体制づくりです。GX-ETSでは主にScope1に相当する直接排出量が対象になり、算定結果は国への報告の土台となります。
報告する排出量は、登録確認機関による第三者検証を受ける必要があります。検証に耐えられるよう、燃料使用量や活動量のデータを日ごろから正確に記録し、根拠を残す管理体制が求められます。算定と検証の流れを早めに固めておくことが、制度対応の出発点です。
排出枠の管理と取引を理解する
次に押さえたいのが、排出枠の管理と取引の仕組みです。対象企業は割り当てられた排出枠と排出実績量を照らし合わせ、過不足を管理する必要があります。
排出量が枠を上回りそうな場合は、市場で排出枠やクレジットを調達して不足を補います。逆に削減が進んで枠が余れば、売却して収益を得ることも可能です。カーボンプライシングのもとでは排出削減が費用の削減に直結するため、削減対策への投資判断とあわせて取引の方針を検討しておくことが欠かせません。
移行計画を策定する
3つ目の柱が、移行計画の策定です。初年度の2026年度には、9月30日までに移行計画を提出する必要があります。
移行計画には、2026年から2030年までの排出量の見込みや削減目標、設備投資や研究開発の取り組みを記載します。自社の脱炭素の道筋を具体的な数値と施策に落とし込む作業といえます。企業の情報開示制度との整合も意識しながら、全社的な脱炭素戦略の一環として計画を練り上げることが望まれます。
まとめ:GX-ETSは2026年度から本格稼働します
本記事では、GX-ETSがいつから始まるのかを軸に、制度の全体像や3つのフェーズのスケジュール、対象企業の基準と義務、そして本格稼働に向けて企業が準備すべきことを解説してきました。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- GX-ETSは2026年度から義務化を伴い本格稼働する
- 対象は直接排出量が3年度平均で10万トン以上の企業
- 初年度は排出量の算定と移行計画の提出が中心
GX-ETSがいつから始まり、どのような企業が対象になるかを理解できたことで、自社に必要な備えを検討する土台が整ったのではないでしょうか。排出量の算定体制づくりや移行計画の策定を早めに進めることが、本格稼働への確かな一歩になります。
GX-ETSへの対応や脱炭素経営について詳しく相談したい方は、お気軽にお問い合わせください。
GX-ETSの開始時期に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Green With編集部は、GX・脱炭素・Scope3・カーボンニュートラルなどの実務情報をわかりやすく発信する編集チームです。政策・技術・企業事例を調査し、AIを活用した制作と編集部による事実確認を組み合わせ、実務に役立つ信頼性の高いコンテンツを提供しています。
監修者
リサーチチーム
Green With リサーチチームは、GX・脱炭素・Scope3・ESG・環境政策に関する国内外の一次情報を継続的に調査・分析する専門チームです。政府・業界団体・研究機関・企業の公開情報をもとに、記事の事実確認や専門性の担保、情報の正確性を監修しています。
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