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カーボンリサイクル企業の取り組み事例と参入ポイントを解説

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カーボンリサイクル企業は化学・エネルギー・建設など分野ごとに異なる技術でCO2を資源化しており、旭化成、IHI、大成建設などが代表例。政策支援や他社連携を活かした段階的な参入が実用化の鍵となる。

カーボンリサイクル企業の取り組み事例と参入ポイントを解説

「カーボンリサイクルに取り組んでいる企業はどこなのか、自社が連携するならどの企業を参考にすればいいのか知りたい」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

本記事の内容

  • カーボンリサイクルの仕組みとCCUSとの違い
  • 企業が取り組む際のメリットと課題
  • 分野別に見る代表的な企業事例

カーボンリサイクルに取り組む企業は、化学・エネルギー・建設など幅広い業界に広がっており、それぞれの分野で異なる技術やアプローチを採用しています。本記事を読めば、代表的な企業の取り組みと自社に合った関わり方が見えてきますので、ぜひ最後までご覧ください。

カーボンリサイクルとは?企業が知っておきたい仕組みと注目理由

カーボンリサイクルとは、工場や発電所から排出されるCO2を炭素資源として捉え、分離・回収したうえで燃料や化学品、コンクリートなどの製品に再利用する取り組みです。大気中に放出されるCO2を減らしながら、新しい資源の供給源を確保できる点が評価されています。企業が脱炭素に向けた水素の活用などと並んで、カーボンリサイクルの取り組みに注目する背景には、脱炭素経営と資源循環という2つの課題を同時に解決できる技術であることが関係しています。

カーボンリサイクルの基本的な仕組み

カーボンリサイクルは、CO2の分離・回収、資源化、製品化という3つの工程で成り立っています。工場やごみ焼却施設から排出されたCO2を分離・回収し、再生可能エネルギー由来の水素と反応させることでメタンなどの化学原料を生産できます。

工程内容
分離・回収排ガスからCO2を選択的に取り出す
資源化水素などと反応させ化学原料をつくる
製品化燃料、プラスチック、コンクリートなどに加工する

回収したCO2を化学反応や微生物によって別の物質に変換する点が、単純な廃棄物処理とは異なります。

CCS・CCUSとの違い

カーボンリサイクルとよく似た言葉に、CCSとCCUSがあります。CCSは回収したCO2を地中などに貯留する技術で、資源としては利用しません。一方CCUSは、CCSにCO2を有効活用する「Utilization」の要素を加えた概念です。

CO2を資源として再利用する取り組みそのものがカーボンリサイクルにあたるため、CCUSのうち利用(U)の部分がカーボンリサイクルと重なります。貯留が中心のCCSに対し、カーボンリサイクルは製品化までを視野に入れている点が異なります。

企業が注目する背景にある政策動向

経済産業省は2023年6月にカーボンリサイクルロードマップを策定し、技術面だけでなく普及に向けた課題やアクションを総合的に整理しました。2021年改訂の技術ロードマップでは、大気中からCO2を直接回収するDACや合成燃料が追記され、製品の普及開始時期が2040年頃に前倒しされています。

広島県大崎上島のカーボンリサイクル実証研究拠点の開所や、経済産業省とNEDOによる国際会議の開催など、国が主導する形で企業の取り組みを後押しする動きが続いています。こうした政策的な追い風があることも、企業がカーボンリサイクルに参入する理由の一つです。

カーボンリサイクルに企業が取り組むメリットと課題

カーボンリサイクルは環境貢献だけでなく、新しいビジネスチャンスの創出にもつながる技術です。ただし実用化にはコストや技術面の課題も残っているため、メリットと課題を両面から把握しておくことが欠かせません。

企業にとってのメリット

カーボンリサイクルに取り組む最大のメリットは、CO2排出削減と新規事業創出を同時に実現できる点です。化学、セメント、機械、エンジニアリング、化石燃料、バイオなど幅広い事業分野で応用できるため、業種を問わず参入余地があります。

脱炭素経営を対外的に示せることも見逃せません。カーボンリサイクル製品を扱う企業として認知されれば、取引先や投資家からの評価向上にもつながります。

導入・実用化における課題

一方で、カーボンリサイクルには克服すべき課題も残っています。カーボンリサイクル燃料の製造には多くのエネルギーが必要であり、これは現在の水素ステーションの水素価格が高止まりしている要因と同様に、CO2フリー水素の価格が1リットルあたり約300円から700円と高額であることが影響しています。

歴史の浅い技術であるため、試行錯誤の段階にある点も無視できません。DAC(大気中からのCO2直接回収)は排ガスからの回収に比べて10倍前後のコストがかかるとされ、現時点では実効的な普及手段とは言いがたい状況です。

項目内容
エネルギーコストCO2フリー水素の価格が高く、製造コストを押し上げる
技術の成熟度実証段階の技術が多く、量産体制が未確立
サプライチェーン水素の大量製造・輸送網の構築が途上

課題を乗り越えるための考え方

課題の解決には、段階的なコスト削減の道筋を描くことが重要です。国のロードマップでは、研究・実証を進めるフェーズ、2030年頃に普及技術のコストを下げるフェーズ、2040年以降にさらなる低コスト化を進めるフェーズという3段階が想定されています。

自社単独ですべての課題に対応しようとせず、CO2フリー水素の供給体制や研究開発拠点など、国や他企業と連携できる部分を見極める姿勢が求められます。

カーボンリサイクルに取り組む企業の事例

カーボンリサイクル企業と一口にいっても、取り組み内容は業界によって大きく異なります。ここでは分野別に代表的な事例を紹介します。自社との親和性を考えるうえでの参考にしてください。

化学・素材分野の企業事例

化学・素材分野では、CO2を原料に転換する技術開発が進んでいます。旭化成は、CO2を原料としてポリカーボネート樹脂を製造するプロセスを世界で初めて確立しました。従来は有毒な化合物を用いていた製造工程をCO2に置き換えることで、CO2排出量の削減と安全性向上を同時に実現しています。

積水化学工業は、旭化成、旭化成ホームズ、積水ハウスなどと連携し、給水給湯管の廃材を再生油化して再びエチレンや樹脂に戻す資源循環スキームを構築しています。東レも、排ガス由来の低濃度CO2を有用な製品へ直接変換する技術に取り組んでおり、経済産業省の技術事例集でも紹介されています。

エネルギー・重工業分野の企業事例

エネルギー・重工業分野では、CO2から燃料をつくる技術が中心です。IHIは、CO2と水素を触媒で反応させ合成メタン(e-methane)を製造するメタネーション技術を開発し、大型プラントでの社会実装を目指しています。化石資源からつくられている燃料や、将来的には水素ステーションなどで使われるクリーンな燃料をCO2から生産することを目標に掲げています。

三菱重工業は、世界トップクラスのCO2回収技術を強みとし、セメント工場など排出削減が難しい産業向けにCCUSプラントを提供しています。回収したCO2を再利用するカーボンリサイクル技術の実証にも取り組んでいます。

建設・コンクリート分野の企業事例

建設分野では、CO2を固定する製品開発が進んでいます。大成建設は、CO2排出量の収支がマイナスになるカーボンリサイクル・コンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を開発しました。セメントの代替に高炉スラグを使い、大気中のCO2を吸収してできた炭酸カルシウムを混合することで、コンクリート1立方メートルあたり70〜170キログラムのCO2を固定できます。

2025年には、阪神高速道路との共同研究として、実際の高速道路構造物の場所打ち施工にこの技術が国内で初めて適用されました。素材由来のCO2に加え、施工現場での実用実績があることが特徴です。

TBMは、CO2を再資源化するカーボンリサイクル事業を展開し、独自素材の開発や環境価値を組み込んだ製品づくりに取り組む企業として知られています。

研究機関・団体と連携する企業の動き

個社の取り組みに加え、研究機関や業界団体を通じた連携も広がっています。広島県大崎上島のカーボンリサイクル実証研究拠点には複数の企業が参画し、微細藻類を用いたCO2資源化やバイオプロセスの実用化開発など、幅広いテーマで研究が進められています。

一般社団法人カーボンリサイクルファンドには、企業や研究機関が会員として参加し、技術開発や情報発信を通じてカーボンリサイクルの社会実装を後押ししています。単独では難しい技術開発を、こうした枠組みを通じて進める企業も増えています。

企業がカーボンリサイクルに取り組むためのポイント

カーボンリサイクルに取り組む企業として動き出すには、いきなり大規模な設備投資をするのではなく、段階を踏んで進めることが現実的です。ここでは検討時に押さえておきたいポイントを紹介します。

自社に合う技術領域を見極める

カーボンリサイクルの対象技術は、CO2の分離・回収、燃料や化学品への転換、CO2の価値づけに関わる制度設計まで多岐にわたります。化学メーカーであれば原料転換、建設業であればコンクリートへのCO2固定というように、自社が持つ技術や事業領域と親和性の高い分野から検討を始めることが重要です。

いきなり全社的な取り組みを目指すのではなく、既存事業の延長線上で応用できる技術を優先することで、投資対効果を見極めやすくなります。

政策支援や研究拠点を活用する

国や自治体は、カーボンリサイクルの研究開発や実証にかかる費用を補助する制度を用意しています。広島県では技術開発・実証にかかる経費への補助や、ステップアップを見据えた伴走支援を実施しています。カーボンリサイクルファンドも、CO2分離回収や燃料・化学品転換技術を対象にした研究助成を行っています。

NEDOのカーボンリサイクル実証研究拠点では、企業や大学が参画し、隣接する発電設備由来のCO2を活用した実証研究を進めています。参加には研究機関としてのe-Rad登録や、jGrantsでの公募応募といった手続きが必要になるため、早い段階で情報収集を始めておくと動きやすくなります。

パートナー企業との連携を検討する

カーボンリサイクルは、CO2を排出する企業と、それを資源として活用する企業が連携することで成り立つ技術です。これはインフラとしての水素ステーションが抱える課題と同様に、地域内でCO2の排出者と利用者をつなぐサプライチェーンの構築が重要とされており、単独で完結させるより、業種の異なる企業と組む発想が実用化への近道になります。

給水給湯管の資源循環スキームのように、複数の企業が役割を分担しながら一つの循環をつくる事例も出てきています。自社だけで課題を抱え込まず、既に取り組みを進めている企業や研究機関とのネットワークづくりから始めることが、カーボンリサイクル参入の第一歩になります。

まとめ:カーボンリサイクル企業の動きを知ることが自社の脱炭素戦略の第一歩

ここまで、カーボンリサイクルの仕組みからCCUSとの違い、企業にとってのメリットと課題、分野別の企業事例、そして自社が取り組むためのポイントまでを解説してきました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • カーボンリサイクルはCO2を資源として再利用する技術で、CCUSの一部にあたる
  • 化学・エネルギー・建設など分野ごとに企業の取り組み方は異なる
  • 自社に合う技術領域を見極め、政策支援や他社連携を活用することが実用化への近道になる

カーボンリサイクル企業の具体的な事例を知ることで、自社がどの分野でどのように関われるのか、判断材料が整理できたのではないでしょうか。

脱炭素戦略の一環としてカーボンリサイクルへの取り組みを検討する際は、まず情報収集や専門家への相談から始めてみてください。

カーボンリサイクル企業に関するよくある質問

参考文献

  1. カーボンリサイクルについて - 資源エネルギー庁 - 経済産業省
  2. カーボンリサイクル | NEDO
  3. カーボンリサイクル技術によるCO2循環利用 | 株式会社IHI

執筆者

Green With 編集部
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編集部

Green With編集部は、GX・脱炭素・Scope3・カーボンニュートラルなどの実務情報をわかりやすく発信する編集チームです。政策・技術・企業事例を調査し、AIを活用した制作と編集部による事実確認を組み合わせ、実務に役立つ信頼性の高いコンテンツを提供しています。

監修者

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