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CCSとは?二酸化炭素の回収・貯留の仕組みとメリット・課題

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この記事のポイント

CCS(二酸化炭素回収・貯留)は発電所や工場のCO2を回収し地中に貯留する技術。CCUSとは範囲が異なり、コストは1トンあたり数千円規模。日本は苫小牧の実証を経て2030年の事業化を目指し、先進的CCS事業9件が進行している。

CCSとは?二酸化炭素の回収・貯留の仕組みとメリット・課題

「CCSという言葉はニュースでよく見るけれど、二酸化炭素をどう回収して貯留するのか、CCUSとの違いも含めてよくわからない」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • CCSの仕組みとCCUSとの違い
  • CCS導入のメリットとコスト・法制度の課題
  • 日本と世界におけるCCSの取り組み状況

CCSは、発電所や工場から出る二酸化炭素を回収し、地中に安定的に貯留する技術です。

本記事を読めば、CCSの仕組みを正しく理解できるだけでなく、自社の脱炭素戦略やGX推進の検討材料としてCCSをどう位置づければよいかも見えてきます。ここから順に、仕組みから最新の取り組み状況まで詳しく見ていきましょう。

CCS(二酸化炭素回収・貯留)とは何か

CCSとは、発電所や工場などから排出される二酸化炭素を大気中に放出する前に回収し、地下深くの地層に閉じ込める技術です。Carbon dioxide Capture and Storageの頭文字を取った略称で、2026年時点では脱炭素に向けた水素の普及などと並び、脱炭素社会の実現に向けた重要技術のひとつに位置づけられています。仕組みを理解することは、CCSが自社の脱炭素戦略にどう関わるかを判断するための第一歩です。

CO2を分離・回収する仕組み

CCSの最初の工程は、排出ガスから二酸化炭素だけを分離して回収することです。分離方法には複数の種類があり、それぞれ得意とする条件が異なります。

分離方法仕組み特徴
化学吸収法アルカリ性の吸収液に二酸化炭素を吸収させる幅広い濃度の排ガスに対応しやすい
物理吸収法高圧低温の条件下で吸収液に二酸化炭素を取り込む高濃度の二酸化炭素に向く
膜分離法二酸化炭素だけを通す膜を利用する圧力差を使うため消費エネルギーを抑えやすい
物理吸着法ゼオライトなどの多孔質素材に二酸化炭素を吸着させる圧力変化で二酸化炭素を脱離・回収する

現場の排ガス濃度や設備の条件に応じて、これらの方法を使い分けているのが実情です。

回収したCO2を地中に貯留する仕組み

回収した二酸化炭素は、パイプラインや船舶で輸送され、地下800メートルより深い地層に注入されます。貯留に使われるのは、隙間の多い砂岩などでできた地層で、その上部を遮へい層と呼ばれる緻密な岩盤が覆っているため、二酸化炭素が地表に漏れ出しにくい構造になっています。適切な地層で適正に管理すれば、長期間にわたり安定的に貯留できると考えられています。貯留方法には地中貯留のほか、深海に保持する海洋隔離という手法もあります。

CCUS・CCUとの違い

CCSと混同されやすい言葉に、CCUや、より統合的な概念であるccusによる二酸化炭素の回収・利用・貯留技術があります。両者の違いを整理すると次のとおりです。

略称正式名称内容
CCSCarbon dioxide Capture and Storage二酸化炭素を回収し貯留する
CCUCarbon dioxide Capture and Utilization二酸化炭素を回収し燃料や製品として利用する
CCUSCarbon dioxide Capture, Utilization and Storage回収・利用・貯留をあわせて行う

CCSは貯留に重点を置く技術であるのに対し、CCUは回収した二酸化炭素を資源として活かす技術です。CCUSは両者を統合した、より広い概念といえます。

CCSが二酸化炭素の削減で注目される理由

CCSが世界的に注目を集めている理由は、電化や水素化だけでは排出を抑えきれない産業分野において、二酸化炭素を確実に削減できる手段だからです。発電や製鉄、化学工業などはCO2の排出をゼロにすることが難しく、こうした分野の脱炭素化を後押しする技術として、CCSへの期待が高まっています。

カーボンニュートラル実現における位置づけ

2050年のカーボンニュートラル達成には、化石燃料からの排出を避けられない分野でも確実に排出を抑制する仕組みが欠かせません。日本ではGX推進戦略のなかでCCSが位置づけられ、回収した炭素を再利用するカーボンリサイクル企業の技術開発なども含め、2026年ごろまでに事業者の投資判断を後押しする支援制度の整備が進められています。2030年までのCCS事業開始を目指す方針が示されており、CCSを組み合わせた火力発電も環境に適合したエネルギーとして利用が促進される見込みです。

CCSが持つ二酸化炭素の削減効果

CCSの削減効果は規模の大きさが特徴です。国際的な試算では、2050年のカーボンニュートラル実現に必要な二酸化炭素の分離回収量は50億から180億トンにのぼるとされています。具体例を挙げると、出力80万キロワット規模の石炭火力発電所にCCS設備を導入した場合、年間で約340万トンの二酸化炭素排出を防げると試算されています。

他の脱炭素技術との比較

CCSは再生可能エネルギーの導入や省エネ、あるいはクリーンなモビリティを支える水素ステーションの整備などと並ぶ脱炭素手段のひとつですが、性質は異なります。それぞれの違いを整理すると次のとおりです。

技術特徴課題
CCS化石燃料由来の二酸化炭素を回収・貯留する回収率は9割程度が目標だが、実際は6〜7割にとどまる場合がある
再生可能エネルギー発電時の排出量が化石燃料の1〜10%程度と少ない出力の変動や設置場所の制約がある
省エネルギーエネルギー消費量そのものを抑える削減量に限界があり単独では不十分

CCSは化石燃料の利用を前提とした技術であるため、再生可能エネルギーや省エネと組み合わせて使うことが現実的な選択肢になります。

CCS導入のメリットと課題

CCSの導入を検討するうえでは、メリットと課題の両面を把握しておくことが欠かせません。ここでは企業がCCSを判断する際に押さえておきたいポイントを整理します。

CCS導入のメリット

CCSの最大のメリットは、化石燃料を使い続ける産業でも大幅な二酸化炭素削減を実現できる点です。大規模な火力発電所へ導入すれば、年間で数百万トン規模の排出削減も見込めます。加えて、回収した二酸化炭素を化学品や燃料の原料として再利用できれば、単なる削減にとどまらず資源循環にもつなげられます。既存の発電設備や工場設備を活かしながら導入できることも、実務上のメリットといえます。

コスト面の課題

CCS普及の最大の壁は、二酸化炭素の回収・輸送・貯留にかかるコストです。現在、二酸化炭素を1トン回収するのに約4,000円前後のコストがかかるとされています。政府や関連機関は、2030年に1,000円から2,000円台、2040年には数百円から1,000円程度までコストを引き下げる目標を掲げ、技術開発を進めています。導入を検討する企業にとっては、こうしたコスト低減の見通しを踏まえたうえで投資判断を行う視点が求められます。

貯留適地の確保と法整備の課題

日本国内では、二酸化炭素の貯留に適した地層が日本海側に多く分布する一方、排出源となる工場や発電所は太平洋側に集中しており、両者の距離が課題となっています。近海の有望地点では合計160億トン規模の貯留ポテンシャルがあると推計されていますが、実際に貯留適地を開発するには相応の時間とコストがかかります。法制度 of 面では、二酸化炭素の貯留事業に関する法律(CCS事業法)が整備され、探査・試掘・貯留と導管輸送それぞれの許可制度が段階的に施行されています。長期にわたる責任の所在や、貯留したCO2の純度基準など実務面での調整事項も残っており、今後の制度運用の進展が事業化の鍵を握ります。

日本と世界におけるCCSの取り組み状況

CCSは一部の国や企業だけの取り組みではなく、日本国内でも実証段階から事業化段階へと歩みを進めています。ここでは国内外の具体的な状況を見ていきます。

苫小牧におけるCCS実証試験

北海道苫小牧市では2012年度から大規模なCCS実証試験が行われてきました。深さの異なる2つの貯留層に、二酸化炭素を合計で約30万トン圧入し、2019年に圧入を完了しています。その後もモニタリングが続けられ、圧入した二酸化炭素が貯留層内にとどまっていることが確認されました。長期挙動のシミュレーションでは、圧入停止から1,000年後も二酸化炭素が貯留層内に留まると予測されており、CCSの安全性を裏づけるデータのひとつになっています。

日本のCCS事業化に向けたロードマップ

日本政府は2030年までのCCS事業開始を目標に掲げ、コスト低減や法整備、国民理解の促進などに取り組んでいます。事業者主導で政府支援を集中させる「先進的CCS事業」として、発電・石油精製・鉄鋼・化学・製紙・セメントなど幅広い業種から9つのプロジェクトが選定されました。これらのプロジェクトでは、年間およそ2,000万トンの二酸化炭素の回収・貯留を見込んでおり、国内貯留と海外貯留を組み合わせる計画です。2026年度をめどに最終投資判断が行われる見通しで、2030年時点で年間600万から1,200万トンの貯留量を目指しています。

海外のCCSプロジェクトの事例

海外では、ノルウェーが20年以上にわたるCCSの実績を持つ先進国として知られています。北海のスライプナーガス田では、1996年から天然ガス採掘に伴って発生する二酸化炭素を海底の帯水層に貯留しており、世界初の商用規模CCSとして高く評価されています。近年はノルウェー政府が主導する新しいプロジェクトも進行しており、複数の回収拠点から船舶とパイプラインで二酸化炭素を集約し、年間で数十万トン規模の貯留を行う計画が動いています。こうした海外事例は、日本がCCSを事業化していくうえでの参考材料になっています。

まとめ:CCSは二酸化炭素を減らす切り札になる

ここまで、CCSの仕組みやCCUSとの違い、注目される理由、導入のメリットと課題、日本と世界の取り組み状況について解説してきました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • CCSは二酸化炭素を回収して地中に貯留する技術で、CCUS・CCUとは範囲が異なる
  • 大幅な削減効果がある一方、コストと法整備が普及の課題になっている
  • 苫小牧の実証を経て、日本も2030年の事業化に向けて動き出している

CCSの仕組みと現状を理解できれば、二酸化炭素削減という漠然とした課題を、自社の脱炭素戦略に落とし込むための具体的な視点として捉え直せます。

CCSに関するさらに詳しい情報や導入に向けたご相談は、お気軽にお問い合わせください。

CCSと二酸化炭素に関するよくある質問

参考文献

  1. 環境省 二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)に関する取組
  2. 資源エネルギー庁 エネルギーの基礎用語 CO2を集めて埋めて役立てる CCUS
  3. 地球環境産業技術研究機構(RITE) CCSの仕組み
  4. JOGMEC CCS事業化に向けた先進的取り組み

執筆者

Green With 編集部
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編集部

Green With編集部は、GX・脱炭素・Scope3・カーボンニュートラルなどの実務情報をわかりやすく発信する編集チームです。政策・技術・企業事例を調査し、AIを活用した制作と編集部による事実確認を組み合わせ、実務に役立つ信頼性の高いコンテンツを提供しています。

監修者

Green With リサーチチーム
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Green With リサーチチームは、GX・脱炭素・Scope3・ESG・環境政策に関する国内外の一次情報を継続的に調査・分析する専門チームです。政府・業界団体・研究機関・企業の公開情報をもとに、記事の事実確認や専門性の担保、情報の正確性を監修しています。

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