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地熱発電の発電効率はなぜ低い?理由と他電源との比較を解説

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この記事のポイント

地熱発電の発電効率はおよそ8〜20%程度で、太陽光発電の15〜20%と近く、水力発電の80%や火力発電の40%台より低い。地熱流体の温度の低さが主因だが、設備利用率は約70%と高く、超臨界地熱やEGSなど効率向上技術の開発も進んでいる。

地熱発電の発電効率はなぜ低い?理由と他電源との比較を解説

「地熱発電の発電効率は結局何パーセントなのでしょうか。他の発電方式より低いと聞いたものの、導入する意味があるのか気になります」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 地熱発電の発電効率の目安と計算方法
  • 発電効率が低い技術的な理由
  • 太陽光・風力・水力との効率比較と評価されるポイント

地熱発電の発電効率はおよそ8〜20%程度であり、他の発電方式と比べて高い数値とはいえません。

発電効率の低さだけで地熱発電を判断するのは早計です。本記事を読み進めることで、効率の低さの背景にある技術的な理由と、地熱発電が持つ本当の強みがわかります。

地熱発電の発電効率とは

発電効率とは、投入したエネルギーのうちどれだけの割合を電気エネルギーに変換できたかを示す指標です。地熱発電の発電効率は、地下から取り出した熱エネルギーに対して、実際に発電できた電力の割合で表され、数ある再生可能エネルギーの種類を比較する際にも重要な評価指標となります。

発電効率の定義と計算方法

発電効率は、発電端電力量を投入した熱エネルギーで割り、100を掛けることで算出します。火力発電では発電端熱効率という言葉が使われ、燃料の総発熱量に対する発電端電力量の割合で計算するのが一般的です。

地熱発電の場合も考え方は同じで、地下から取り出した蒸気や熱水が持つ熱エネルギーのうち、タービンを回して電気に変換できた割合が発電効率にあたります。地熱流体は火力発電の燃焼ガスほど高温にならないため、変換できるエネルギーの割合は自然と小さくなります。

地熱発電の発電効率の目安

地熱発電の発電効率はおよそ8〜20%程度とされています。地熱の熱エネルギーのうち、約8割が発電に利用される前に空気中へ逃げてしまうため、タービンを回す蒸気の温度が火力発電や原子力発電と比べて低くなり、発電効率が低くなる結果につながります。

比較として、大容量の火力発電プラントでは発電端熱効率が40〜42%程度、コンバインドサイクル発電では44〜46%程度に達します。地熱発電の発電効率は、こうした火力発電と比べると見劣りする水準です。

発電効率と設備利用率の違い

地熱発電を評価するうえで、発電効率と混同しやすい指標に設備利用率があります。設備利用率は、発電設備がどれだけの期間、最大出力に近い状態で稼働したかを示す指標です。

指標意味地熱発電の水準
発電効率投入した熱エネルギーを電気に変換できた割合8〜20%程度
設備利用率年間を通じて設備がどれだけ稼働したかの割合約70%と高水準

地熱発電は天候や時間帯に左右されずに一定量を発電し続けられるため、設備利用率は約70%と極めて高い水準にあります。発電効率だけを見ると見劣りしますが、設備利用率まで含めて評価すると、地熱発電は安定した電源としての価値を持つといえます。

地熱発電の発電効率が低い理由

地熱発電の発電効率が低い理由は、大きく分けて三つあります。地熱流体の温度の低さ、熱力学的な理論限界、そして設備を通過する過程で生じる損失です。

地熱流体の温度が低く熱エネルギーを取り出しにくい

地熱発電で利用する蒸気や熱水の温度は、火力発電の燃焼ガスや原子力発電の炉内温度と比べて低い水準にとどまります。地下からくみ上げた地熱の熱エネルギーのうち、約8割は発電に利用される前に空気中へ逃げてしまい、実際にタービンへ届く熱エネルギーはごくわずかです。

高温の熱源を確保しにくいという地熱資源そのものの性質が、発電効率を押し下げる根本的な要因になっています。

カルノー効率による理論上の上限

発電効率には、熱力学の法則にもとづく理論上の上限があります。この上限はカルノー効率と呼ばれ、高温側と低温側の温度差だけで決まります。

地熱発電のように高温側の温度差が小さい低温熱源では、どれだけ設備を工夫しても超えられない理論的な上限が低く設定されてしまいます。火力発電や原子力発電のように高温の熱源を使える発電方式と比べると、この時点で地熱発電は不利な条件からスタートすることになります。

タービンや配管で生じる熱損失

地下からくみ上げた地熱流体は、気水分離器で蒸気と熱水に分けられたあと、配管を通ってタービンへ送られます。この過程でも、配管の摩擦や放熱によって蒸気の圧力と温度は少しずつ低下していきます。

タービンでは高温高圧の蒸気を複数の段階に分けて徐々に圧力を下げながら仕事へ変換しますが、この変換の過程でも一定の損失は避けられません。地熱流体の温度の低さに加え、こうした設備を通過する際の損失が積み重なることで、地熱発電全体の発電効率はさらに下がる結果につながり、この構造は再生可能エネルギーのコスト比較で地熱の初期コスト回収期間に大きな影響を及ぼします。

地熱発電と他の発電方式の効率比較

地熱発電の発電効率がどの程度の水準なのか、地熱発電の特徴や現状を踏まえ、他の発電方式と並べて確認します。

太陽光発電・風力発電との比較

太陽光発電の発電効率はおよそ15〜20%程度で、地熱発電の8〜20%程度と近い水準にあります。風力発電の発電効率はおよそ30〜40%程度で、地熱発電より高い数値です。

発電方式発電効率の目安
地熱発電8〜20%程度
太陽光発電15〜20%程度
風力発電30〜40%程度

数値だけを見ると地熱発電は太陽光発電と近く、風力発電にはやや劣る結果です。ただし発電効率はあくまで熱や光をどれだけ電気に変換できたかを示す指標であり、天候への依存度や出力の不安定さは、再生可能エネルギーのデメリットとして別途評価すべき項目です。

水力発電・火力発電との比較

水力発電の発電効率はおよそ80%程度と、他の発電方式と比べて突出して高い水準にあります。火力発電も発電端熱効率で40〜42%程度、コンバインドサイクル方式では44〜46%程度に達し、地熱発電を上回ります。

発電方式発電効率の目安
水力発電80%程度
火力発電40〜46%程度
地熱発電8〜20%程度

数値上の発電効率だけを比較すると、地熱発電は水力発電や火力発電に大きく水をあけられていますが、それぞれの電源が持つ再生可能エネルギーの特徴や仕組みをトータルで評価することが求められます。

効率が低くても地熱発電が評価される理由

発電効率だけを見ると地熱発電は不利な立場ですが、他の指標に目を向けると評価は変わります。前述のとおり地熱発電の設備利用率は約70%あり、太陽光発電の約12%、風力発電の約20%と比較しても、稼働の安定度では大きく上回ります。

加えて、地熱発電のライフサイクルCO2排出量は1kWhあたり約13グラムと極めて低い水準です。数値上の発電効率という一面だけでなく、稼働の安定性や環境負荷の低さ、そして地熱発電のメリット・デメリットを統合したライフサイクル評価の視点が欠かせません。

地熱発電の方式による効率の違い

地熱発電には複数の発電方式があり、基本となる地熱発電の仕組みを踏まえた方式の違いによって、利用できる地熱流体の温度や発電効率が異なります。

フラッシュ発電の仕組みと効率

フラッシュ発電は、200℃以上の高温・高圧の地熱流体を地下からくみ上げ、気水分離器で蒸気と熱水に分けて、蒸気で直接タービンを回す方式です。国内の地熱発電所の多くはこのフラッシュ発電を採用しています。

高温の地熱流体をそのまま利用できるため、他の方式と比べて発電効率を確保しやすい点が特徴です。ただしフラッシュ発電を導入するには200℃以上の高温資源が必要で、再生可能エネルギーの発電方法として利用できる地点は限られます。

バイナリー発電の仕組みと効率

バイナリー発電は、150℃以下の中低温の地熱流体を利用する方式です。地熱流体そのものでタービンを回すのではなく、水とアンモニアの混合物など沸点の低い二次媒体を加熱・蒸発させ、その蒸気でタービンを回します。

バイナリー発電の発電効率はおよそ8〜15%程度で、地熱流体の温度が高いほど、また冷却能力が高いほど効率は上がる傾向にあります。フラッシュ発電が使えない中低温の地熱資源も活用できるため、他方式との再生可能エネルギーの比較においても、温泉地帯を含めた発電の可能性を広げるアプローチとして注目されています。

発電方式利用する地熱流体の温度特徴
フラッシュ発電200℃以上高温資源を直接利用し効率を確保しやすい
バイナリー発電150℃以下中低温の資源も活用できる

ダブルフラッシュ発電による効率向上

高温高圧の地熱流体が確保できる地点では、ダブルフラッシュ発電という方式で効率を高める工夫も行われています。気水分離器で分けた熱水をさらにフラッシャーと呼ばれる減圧器にかけ、低圧の蒸気を追加で取り出して発電に利用する仕組みです。

ダブルフラッシュ発電を採用すると、シングルフラッシュ発電と比べて発電出力を10〜25%程度増やせるとされています。国内では八丁原発電所や山葵沢地熱発電所などで、この方式が採用されています。

地熱発電の効率を高める最新技術と展望

発電効率の低さという課題に対して、国内外で技術開発が進められており、これらが日本の地熱発電の将来性や課題をブレイクスルーする原動力となっています。

超臨界地熱発電への期待

超臨界地熱発電は、地下深部にある高温・高圧の超臨界状態の地熱流体を利用する次世代技術です。従来の地熱資源より温度とエネルギー密度が高く、理論上は同じ坑井数でもより大きな出力を得られると期待されています。

超臨界地熱発電が実用化されれば、1地点あたりの発電容量を大きく増やせるうえ、掘削面積あたりの土地改変を抑えられるため、環境負荷の軽減にもつながります。国内では調査対象地域でのシミュレーションや、新たな坑井の掘削計画が進められている段階です。

EGS(高温岩体発電)の可能性

EGSは、亀裂や熱水が少ない高温の岩盤に高圧の水を圧入して人工的な貯留層をつくり、そこで温められた水を発電に利用する技術です。地熱流体が乏しい地点でも、高温の岩盤さえあれば発電に活用できる可能性を持ちます。

日本では1980年代から山形県や秋田県で高温岩体発電の研究開発が進められてきた実績があり、近年は多段的に貯留層をつくって熱の抽出量を増やす実証実験も行われています。地熱流体そのものの温度に左右されにくいEGSは、発電効率の向上だけでなく、開発できる地点を広げる技術としても注目されています。

政府目標と技術開発の動き

資源エネルギー庁は、2030年度の地熱発電設備容量として最大1.55GW、発電電力量として約68億kWhを導入見込量として掲げています。あわせて、2030年頃までに地熱発電所の平均利用率と発電原価をそれぞれ現状から20ポイント程度改善する方針も示されています。

NEDOは超臨界地熱資源の評価や、環境保全との両立に向けた技術開発を進めており、2040年から2050年頃には超臨界地熱を活用した100メガワット級の発電所を複数地点で普及させる構想も掲げられています。こうした官民の取り組みが進むことで、地熱発電の発電効率とコストの両面での改善が期待されます。

まとめ:地熱発電の発電効率が低い理由と今後の展望

地熱発電の発電効率は8〜20%程度で、水力発電や火力発電と比べると低い水準にあります。地熱流体の温度の低さやカルノー効率による理論上の上限、タービンや配管での損失が重なることが、発電効率が低くなる主な理由です。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 地熱発電の発電効率は8〜20%程度で、水力や火力より低い水準
  • 設備利用率は約70%と高く、CO2排出量も少ない安定電源
  • 超臨界地熱やEGSなど、効率向上に向けた技術開発が進行中

発電効率の数値だけを見ると地熱発電は見劣りしますが、天候に左右されず安定して発電できる強みや、CO2排出量の少なさまで含めて評価すれば、地熱発電が再生可能エネルギーの中で果たす役割の大きさがわかります。

地熱発電の導入や技術動向について、さらに詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

地熱発電の発電効率に関するよくある質問

参考文献

  1. 地熱発電|再エネとは|なっとく!再生可能エネルギー(資源エネルギー庁)
  2. バイナリー発電 | JOGMEC地熱資源情報
  3. 地熱発電導入拡大研究開発 | 事業 | NEDO

執筆者

Green With 編集部
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編集部

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