再生可能エネルギーの種類とは?7種類の特徴と選び方【解説】
この記事のポイント
再生可能エネルギーの種類は法律上7つに分類され、うち太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5種類がFIT制度の対象である。水力発電の発電効率は約80%と最も高く、太陽光の発電コストは2030年に8.2〜11.8円/kWh程度まで低下する見通しである。
「再生可能エネルギーの種類にはどのようなものがあるのか、太陽光や風力以外も含めて正確に整理したい」
こうした疑問に答えます。
本記事の内容
- 再生可能エネルギーの種類と法律上の分類
- 主要5種類の仕組みとその他の種類の特徴
- 種類別の比較と用途に応じた選び方
再生可能エネルギーの種類は、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5つに加え、太陽熱や海洋エネルギーなど法律上7つに分類されます。
種類ごとの仕組みやコスト・効率の違い、用途に応じた選び方まで理解しておけば、導入や活用の判断に役立ちます。ここから順に詳しく見ていきましょう。
再生可能エネルギーの種類とは
再生可能エネルギーの種類は、法律上7つに分類されます。太陽光や風力といった代表的なものだけでなく、太陽熱や大気中の熱といったなじみの薄い種類も含まれる点がポイントです。まずは分類の根拠と、主要な種類とそれ以外の種類の違いを整理します。
再生可能エネルギーの定義と法律上の分類
再生可能エネルギーの種類は、エネルギー供給構造高度化法の施行令で定義されています。同法が定める種類は、太陽光・風力・水力・地熱・太陽熱・大気中の熱その他の自然界に存在する熱・バイオマスの7つです。
この7種類はいずれも、発電や熱利用の際に温室効果ガスをほとんど排出せず、自然界で繰り返し利用できる点が共通しています。法律上の分類を押さえておくと、ニュースや行政資料に登場する再生可能エネルギーの範囲を正確に理解できます。
主要5種類とそれ以外の種類の違い
7種類のうち、固定価格買取制度(FIT制度)の対象になっているのは太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5種類です。発電設備として広く普及し、電力会社が買い取る仕組みが整っている点が特徴です。
一方、太陽熱と大気中の熱その他の熱は、電気ではなく給湯や冷暖房といった熱利用が中心で、FIT制度の対象には含まれていません。次の表で違いを整理します。
| 区分 | 種類 | 主な用途 | FIT制度の対象 |
|---|---|---|---|
| 主要5種類 | 太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス | 発電 | 対象 |
| その他2種類 | 太陽熱・大気中の熱その他の熱 | 給湯・冷暖房などの熱利用 | 対象外 |
同じ再生可能エネルギーでも、発電向けか熱利用向けかで制度上の扱いが異なることを知っておくと、種類ごとの位置づけが理解しやすくなります。
種類ごとに知っておきたい共通のポイント
再生可能エネルギーの種類は多岐にわたりますが、共通するポイントが2つあります。ひとつは、石油や石炭のような有限な資源と違い、使い続けても枯渇しないことです。もうひとつは、発電や熱利用の過程で排出する温室効果ガスが化石燃料に比べて非常に少ないことです。
種類ごとの仕組みや特徴には違いがあるものの、この2つの共通点があるからこそ、脱炭素社会の実現に向けた選択肢として位置づけられています。次の章から、主要5種類の特徴を仕組みとあわせて見ていきましょう。
主要5種類の再生可能エネルギーの特徴と仕組み
主要5種類の再生可能エネルギーは、それぞれ異なる自然現象を利用して発電しています。仕組みの違いを理解すると、発電効率や安定性の差がどこから生まれるのかが見えてきます。ここでは太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5つを順に見ていきましょう。
太陽光発電の特徴と仕組み
太陽光発電は、シリコン半導体でできた太陽電池パネルに光を当て、光エネルギーを直接電気に変換する仕組みです。モーターやタービンのような可動部分がないため、構造がシンプルで保守がしやすい点が特徴です。
一方でモジュールの変換効率はおよそ20パーセントにとどまり、主要5種類の中では効率が低めです。設置場所 of 自由度が高く、屋根や空き地に導入しやすい反面、夜間や悪天候時は発電できないという制約があります。
風力発電の特徴と仕組み
風力発電は、風の力で羽根車(ブレード)を回転させ、その回転運動を発電機に伝えて電気を作る仕組みです。発電効率はおよそ20から40パーセントで、太陽光発電より高い水準にあります。
近年は海に浮かべた設備で発電する浮体式洋上風力発電の実用化も進んでおり、2026年には長崎県五島市沖で国内初となる商用運転が始まりました。政府は2040年までに浮体式を含め最大4,500万キロワットの導入を目標に掲げ、陸上だけでなく洋上への展開が広がっています。
水力発電の特徴と仕組み
水力発電は、高い位置にある水が落下する力でタービンを回し、その回転運動を電気に変換する仕組みです。水が持つ位置エネルギーをそのまま利用するため、発電システム全体の損失を含めても発電効率はおよそ80パーセントと、主要5種類の中で最も高い水準を誇ります。
天候に左右されず安定した出力を保てる点も強みです。ダムを使う大規模なものだけでなく、中小河川の水流を利用する小水力発電にも同じ仕組みが使われています。また、他の電源と比較する上では、バイオマスとは何かという基礎知識についても整理しておくことが有効です。
地熱発電の特徴と仕組み
地熱発電は、地下のマグマだまりで発生した高温の蒸気を直接取り出し、その蒸気の力でタービンを回して発電する仕組みです。地上の天候に影響されないため、設備利用率は70パーセント以上と高く、昼夜を問わず安定した発電を続けられます。
火山国である日本は地熱資源に恵まれていますが、蒸気を取り出す井戸を掘るまでに長い調査期間が必要で、開発のハードルが他の種類より高い点が特徴です。
バイオマス発電の特徴と仕組み
バイオマス発電は、木質チップや農業残渣、家畜のふん尿といった生物由来の資源を燃料として、その燃焼や発酵で得たエネルギーで発電する仕組みです。このバイオマス発電の仕組みやメリットを理解しておくことで、資源循環型エネルギーの活用法が見えてきます。発電方式は主に3つに分かれます。
- 直接燃焼方式:燃料をそのまま燃やし、発生した蒸気でタービンを回す
- 熱分解ガス化方式:燃料を高効率のガスに加工してから燃焼させる
- 生物化学的ガス化方式:生ごみや汚泥を発酵させて生じるメタンガスを利用する
天候に左右されず安定した発電が可能な一方、燃料が全国に分散しているため収集や運搬にコストがかかる点が課題です。
太陽熱・海洋エネルギーなど主要5種類以外の再生可能エネルギー
再生可能エネルギーの種類は、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの5つだけではありません。太陽熱や海洋の力、温度差を利用する種類もあり、地域や用途に応じて活用が広がっています。各方式の特性は多様であり、たとえばバイオマス発電のメリット・デメリットのように個別電源の長所と短所を把握することが大切です。ここでは主要5種類以外の代表的な3つを紹介します。
太陽熱発電・太陽熱利用の特徴
太陽熱利用は、太陽の熱を集めて温水や温風を作り、給湯や冷暖房に利用する仕組みです。太陽電池で光を電気に変える太陽光発電や、燃料の燃焼・発酵プロセスを伴うバイオマス発電の仕組みとは異なり、熱そのものを直接利用する点が特徴です。
国内では戸建て住宅用の太陽熱温水器が最も普及しており、ホテルや病院といった業務用建物にも導入が広がっています。太陽熱を利用することで、家庭で使う燃料を大幅に節約できる点が実用面での強みです。
波力発電・潮力発電など海洋エネルギーの特徴
波力発電は波の上下運動、潮力発電は潮の満ち引きによる海水の流れを利用して発電する仕組みです。四方を海に囲まれた日本にとって、大きな潜在力を持つ種類とされています。
長崎県五島市沖では潮流発電の実証運転が進み、商用規模への展開が検討されています。波力発電についても、広い周波数帯で高効率な発電を可能にする新方式の研究が進むなど、実用化に向けた技術開発が続いている段階です。
温度差エネルギー・雪氷熱利用の特徴
温度差エネルギーは、河川水や地下水、下水などと外気との温度差をヒートポンプで活用する仕組みです。雪が降らない地域でも導入できる一方、温度差が小さいと効率が下がりやすい特徴があります。
雪氷熱利用は、冬に集めた雪や氷を貯めておき、夏場の冷房や農作物の貯蔵に活用する仕組みです。冷却した空気を送る方式と、雪や氷を溶かした冷水を循環させる方式があり、積雪の多い地域を中心に活用が進んでいます。このような地域資源の有効活用については、各地におけるバイオマス発電の取り組み事例なども参考になります。
種類別に見る再生可能エネルギーの比較
再生可能エネルギーの種類を選ぶうえでは、コスト・効率・安定性という3つの軸で横断的に比較することが欠かせません。また、多様な燃料を用いるバイオマス発電の種類や方式など、電源ごとの分類についても確認しておくと比較がスムーズです。ここでは主要5種類を対象に、それぞれの違いを整理します。
発電コストを種類別に比較する
発電コストは、太陽光や風力のような量産効果が働きやすい種類ほど低下が進んでいます。2020年時点の試算では、事業用太陽光がキロワット時あたり12.9円、陸上風力が19.8円でした。
2030年には太陽光が8.2から11.8円、風力が9.8から17.2円まで下がる見通しです。一方、地熱は16.7円程度、バイオマスは24円程度、中小水力は29円前後と、量産効果が働きにくい種類はコストが高止まりしやすい傾向にあります。特にバイオマスについては、バイオマス発電の将来性や課題も含めてコスト動向を見極める必要があります。
発電効率を種類別に比較する
発電効率を見ると、水力発電がおよそ80パーセントと主要5種類の中で最も高く、天候に左右されない安定した変換性能を持っています。次いで風力発電が20から40パーセント、太陽光発電がおよそ20パーセントという水準です。さらに、燃料により効率が変動するバイオマス発電の特徴も踏まえて比較することが重要です。
| 種類 | 発電効率の目安 | コストの傾向 |
|---|---|---|
| 太陽光発電 | 約20% | 量産効果で低下中 |
| 風力発電 | 20〜40% | 洋上展開で低下余地あり |
| 水力発電 | 約80% | 大規模開発の適地は限定的 |
| 地熱発電 | 蒸気を直接利用 | 開発期間が長くコスト高止まり |
| バイオマス発電 | 燃焼方式により変動 | 燃料調達コストが影響 |
地熱発電は蒸気の力を直接タービンに伝える仕組みのため、他の種類と同じ基準での効率比較はしにくいものの、設備利用率の高さで安定性を補っています。
安定性と設置条件を種類別に比較する
安定性の面では、天候に左右されにくい水力発電と地熱発電が優位ですが、導入時は再生可能エネルギーのコスト比較も併せて検証する必要があります。水力発電はダムでの水量調整によって出力をコントロールしやすく、地熱発電は昼夜を問わず一定の蒸気量を確保できます。
一方、太陽光発電と風力発電は天候や時間帯の影響を受けやすく、単独では安定供給が難しい種類です。設置面積の面でも、100万キロワット規模の発電設備をつくる場合、太陽光がおよそ58平方キロメートルであるのに対し、風力はその3倍を超える約214平方キロメートルの土地が必要とされ、種類によって求められる条件が大きく異なります。
用途に応じた再生可能エネルギーの種類の選び方
再生可能エネルギーの種類は、導入する立場によって適した選び方が異なります。また、導入にあたっては再生可能エネルギーのデメリットについても正確に整理しておくことが重要です。家庭・企業・地域や自治体という3つの立場に分けて、選び方のポイントを見ていきましょう。
家庭で導入する場合の選び方
家庭で導入しやすい種類は、設置の自由度が高い太陽光発電です。屋根や駐車場のスペースを活用でき、蓄電池と組み合わせれば昼間の余剰電力を夜間や災害時にも使えます。家庭用設備の検討にあたっては、再生可能エネルギーの特徴や仕組みを理解し、生活パターンに合う製品を選ぶことが重要です。
蓄電池を選ぶ際は、日々の自家消費に使う容量と、災害時の非常用電源としての容量のバランスを考えることが大切です。導入費用は数十万円から数百万円規模になるため、電気代の削減効果や補助金の活用状況もあわせて確認しておくと判断しやすくなります。
企業が導入する場合の選び方
企業が再生可能エネルギーを導入する方法は、自社で発電設備を保有する自家発電・自家消費、再エネ電力メニューの購入、環境価値の購入、PPA(電力購入契約)の4つに大別されます。
初期費用をかけずに始めたい企業には、事業者が屋根や遊休地に設備を設置し電気だけを購入するPPAモデルが向いています。一方、長期的なコスト削減を重視するなら、自社で太陽光発電設備を保有する自家消費型の選択肢も検討に値します。どのような再生可能エネルギーの発電方法を選択すべきか、シミュレーションの精度や実績のある事業者と相談しながら選ぶことが重要です。
地域や自治体が導入する場合の選び方
地域や自治体が導入する場合は、その土地にある資源を生かせる種類を選ぶ視点が欠かせません。水資源が豊富な地域では小水力発電、森林資源が豊富な地域では木質バイオマス発電というように、地域特性に合わせた種類の選定が進められています。
複数の再生可能エネルギーを組み合わせて地域全体でエネルギーを自給する取り組みも広がっており、地域新電力を通じて太陽光・風力・水力・バイオマスなど多様な種類を統合的に活用する事例も見られます。こうした各電源の再生可能エネルギーの比較を進め、地域資源の棚卸しから始めることが、種類選びの第一歩になります。
まとめ:再生可能エネルギーは種類ごとの特徴を理解して選ぶことが重要である
再生可能エネルギーの種類は、法律上7つに分類され、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスの主要5種類に加え、太陽熱や海洋エネルギー、温度差エネルギーといった種類も存在します。それぞれ仕組みや発電効率、コスト、安定性が異なるため、横断的に比較したうえで用途に合う種類を選ぶことが大切です。
本記事のポイントをおさらいします。
本記事のポイント
- 再生可能エネルギーは法律上7種類に分類される
- 種類ごとにコスト・効率・安定性が大きく異なる
- 家庭・企業・地域で選ぶべき種類のポイントは異なる
本記事を読むことで、再生可能エネルギーの種類を主要5種類だけでなく幅広く把握し、それぞれの違いを踏まえたうえで自分に合う種類を選ぶ判断材料を得られたのではないでしょうか。
再生可能エネルギーの導入や活用について具体的に検討したい方は、お気軽にお問い合わせください。詳しい資料もご用意しています。
再生可能エネルギー種類に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
Green With編集部は、GX・脱炭素・Scope3・カーボンニュートラルなどの実務情報をわかりやすく発信する編集チームです。政策・技術・企業事例を調査し、AIを活用した制作と編集部による事実確認を組み合わせ、実務に役立つ信頼性の高いコンテンツを提供しています。
監修者
リサーチチーム
Green With リサーチチームは、GX・脱炭素・Scope3・ESG・環境政策に関する国内外の一次情報を継続的に調査・分析する専門チームです。政府・業界団体・研究機関・企業の公開情報をもとに、記事の事実確認や専門性の担保、情報の正確性を監修しています。
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